今年の3月、中国貴州省は西江鎮にやって来た。山間部にある少数民族苗族の古い集落で、谷間を流れる清流の両側に家屋が広がっている。
木の柱を丘の斜面に立て、その上に家を築いた「吊脚楼」と呼ばれる構造の家屋が、川のほとりから低い丘の上まで支えあうように建てられている。
集落の中央を流れる川には、楼閣のような屋根をもった橋(風雨橋)が架けられている。
風雨橋は上流から順番に番号が振られており、上流に向かって街を歩いて、1号橋を抜けると、開けた場所に出た。田園風景が広がり、丘の上まで棚田が築かれている。よくみると、棚田の畔の多くがコンクリートで固められている。西江は今は有名観光地としてにぎわっており、専用の高速道路が集落の入り口まで引かれている。産業は銀細工だが、かつては貧しい農村で、ほぼ自給自足の暮らしだったろう。
丘に広がる家屋には狭い階段や路地が通じている。私が訪れた3月はシーズンオフで家屋や路地のあちこちで工事が行われていた。工事に使うレンガなどを背中に積んだロバが路地を上っていくのを何回も見かけた。人も建設資材を背中に乗せて運んでいく。ほとんどが女性だった。業者に雇われているというよりも、近所の人が総出で工事を手伝っているという印象だった。大変な暮らしだが、そうだからこそ人々が助け合って生活しているのだろう。
西江に来るときはもっとも近い高速鉄道の凯里南駅からリムジンに乗り、高速道路を通ってきたが、帰りは近くの町の凯里に行く下道を通るバスに乗った。バスは道沿いの苗族の小さな集落で人々を乗り降りさせながら、1時間かけて凯里に着いた。
By Dagui
最終更新日:2025年07月21日