中国語の発音、初級者向き会話術

 中国語は日本人にとって比較的なじみやすい外国語だ。発音は異なるが共通する単語が多い。ただし、発音はかなり難しい。
 一番初めに面食らうのが、そり舌音だ。日本語にはもちろん英語にもない発音で、慣れるのに時間がかかる。また、母音の「e」はあいまい母音で、英語のそれと似ているが、やはり日本人には難しい。だが、これらは序ノ口だ。
 もっと難しいのは、「an」「ang」などの鼻母音だ。発音も難しいが、聞き取りが特に難しい。「an」と「en」、「ang」と「eng」等の違いを聞きとれるのはネイティブだけだと思う。
 また、有気音と無気音の区別は日本人だけでなくすべての外国人にとって難関だろう。「ta」は「タ」、「da」は「ダ」というふうに、無気音を濁音、有気音を清音として発音するのが、よく知られた「なんちゃって」発音法だ。だが、ネイティブの有気音と無気音の聞き分けは至難の業だ。
 さて、発音と言えば、ここまで書いた以外に、もう一つ大事なものがある。「四声」だ。話は変わるが、中国の北京から山西省の大同に高速鉄道で向かうとき、駅で中国人と話をする機会があった。「どこへ行くのか」と尋ねられて、「dàtōng」と答えた。ところが全く通じない。ぜんぜん別の単語に聞こえるらしい。スマホで表示されるオンラインのチケットを見せると、やっとわかってもらえた。「dàtóng」または「dàtong」と発音するのが正しいらしい。四声が異なると、全く通じないのだ。そり舌音、鼻母音、有気・無気音など、中国語の正確な発音は難しい。だが、逆に言うと、少々いい加減な発音でも四声が正しければ通じるのである。
 私のような中国語の初級者は、ちゃんとした文章で話そうとして、まごまごするよりも、知っている単語を並べるのが、意図を伝える早道だ。その場合、通じないときは、四声があっているかどうか、ちょっと考えてみるのがいいと思う。

By Dagui

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toyochu

最終更新日:2025年08月04日