南京の明孝陵は市内にほど近い鐘山の麓にある。ここは明(1368ー1644)の太祖朱元璋とその皇后の陵墓だ。

ここに参詣する人はまず神道と呼ばれる道を通る。すると、ラクダや想像上の動物である麒麟、象等の石像が数10m毎に出迎えてくれる。
動物の石像が並ぶ神道を過ぎた後、今度は皇帝に仕えた官僚達の石像が並ぶ神道が続く。これを通り抜けると、いよいよ明孝陵だ。一番奥にあるのが建物が明楼で、その背後に皇帝と皇后は葬られているらしい。それに向かって門や楼閣が一直線に並んでおり、明楼ははるか彼方だ。
明楼は大きな石の土台の上に築かれた壮大な建造物だった。

明孝陵参詣の後、すぐ近くの中山陵を参詣した。現代中国建国の父、孫文(中山)の陵墓だ。中華民国建国の最中(1926〜1929)に建設された明孝陵に負けない壮大なスケールの陵墓で、如何に中国人が孫文を尊敬しているかを感じる。建築物の瓦が青色で統一されており、皇帝の象徴である黄色と対比させているのが興味深い。参詣した月曜日がここの休日になっており、残念ながら陵墓の中まで入ることができなかった。

中山陵参詣の後、道端に掲示されている地図やスマホの百度地図を見ていると、明孝陵や中山陵が築かれている鐘山の上まで道が整備されているらしいことに気がついた。ちょっと風邪気味だが、一つ登ってみよう。簡単に昼食を済ませたあと、百度地図を頼りに登山を開始、登山口を通過。よく整備された道で、何とか上まで登れそうだ。

途中に夫婦と思しき男女が座って休んでいる所があり、「你好」と声をかけて近くに腰を下ろした。もちろん中国人と話をしようと思ってのことだ。彼らは若くはないが私よりもずっと年下の様だ。
程なく、男性の方が「お一人ですか(正確に聞き取れなかったので日本語で記述)」等と話しかけてくれた。彼は湖北省の人で、仕事を辞めた後、奥さんと二人であちこち旅行をしているらしい。「我也不在工作」と言った所、意気投合した様子で、さらに熱心に話をしてくれた。中国のこの辺は行くところが多くて遊ぶのに便利だそうだ。正確には聞き取れないが、分かったふりをして頷きながら聞いていた。彼は本当におしゃべりが好きなようだ。
私が話そうとして言葉に詰まったところ、「わが国の人ではないのですか(同上)」と驚いた様子。「中国語がお上手ですね。どのくらい勉強しているのですか?(同上)」「两三年了」「退職してから始めたのですか?(同上)」。私が「是的」と答えると、「很厉害」と褒めてくれた。中国旅行をするとき中国語が話せると便利だが、外国人は英語を話す人がほとんどで、中国語を話す人は稀だといった話をしてくれた。
奥さんが咳払いをしたのを機に、彼らは腰を上げ登山を再開した。私はもうしばらく休んでから歩き出した。途中であの夫婦を追い越したが、奥さんは登山が苦手らしい様子だった。

鐘山の頂上に到着。ポットのコーヒーを飲んで休憩した後、下山を始めた。下山路は登ってきた道と反対の西側、ロープウエイに沿っている。それから45分ほどで登山口に到着、バス道に出るのにさらに約20分かかった。

一旦ホテルに帰って少し休憩した後、再び市内散策に出た。ホテルから少し歩いた所に玄武湖公園があり、南京市民の憩いの場になっている。先ほど登った鐘山が公園からきれいに眺められた。
by Dagui
最終更新日:2025年11月09日